インドネシアは1万8千以上の島々で構成される国です。
数多ある島の中でも、人口1.5億人を有するジャワ島は、主要都市が集中する中心核を担っています。
2022年1月、カリマンタン島へ首都移転が国会で承認されたものの、依然として首都ジャカルタはインドネシアの中心地です。
かつて中心地として栄えた古都、ボロブドゥール遺跡のある都市、ジョグジャカルタ。
太平洋戦争末期にインドネシア軍と日本軍の武力衝突があったスマラン。
このように魅力ある都市を持つジャワ島とは一体、どのような特徴や文化を持つ島なのでしょうか。
この記事では、中部ジャワ島に1年滞在していた私が、ジャワ島の気候・宗教・言語などの特徴から、服装や食事、催し物などの文化に至るまで詳しくみていきます。
《プロフィール | 友(Yu)》
フリーランスのライター。2018年、インドネシア中部ジャワPekalongan で1年間マングローブ保全ボランティア活動。Pekalonganへ個人チャリティーを実施や、インドネシア語C級取得となにかとインドネシア好き。
ジャワ島の特徴
ジャワ島は、赤道より南下に位置する島で、 人口1.5億人のインドネシア最大人口のある島です。
気候
気候は、ジャワ島のみならずインドネシア全体で、乾季(5-10月ごろ)と雨季(11-4月ごろ)の2つの季節があります。乾季はカラッとした暑さと雨季は蒸し暑いです。ジャワ島西部は、年平均気温が20℃以上の熱帯雨林気候、中部から東部にかけてはモンスーン気候に属しています。
南国インドネシアではありますが、長袖長ズボンが必要なほどの寒いと感じる時に遭遇することもあります。実は、標高の高い地域にいくと、長袖長ズボンの防寒着が必要なほどの寒さです。
ジャワ島は東西に山脈が連なっており、ジャワ島最高峰のスメル山は標高3,767mで、富士山の標高3,776mとほぼ同等の高さです。
1位:スメル山 標高3,676m
2位:スラメット山 標高3,432m
3位:メラピ山 標高2,968m
4位:ケルド山 標高1,731m
滞在中に中北部のディエン高原(標高2,000m)に行った時には、長袖を着ていても寒くて震えるほどで、低地との寒暖差に体が堪えました。
宗教
世界最大のイスラム人口であるインドネシアで、人口数最大の島であるジャワ島では、イスラム教徒が大半を占めます。
そのため、礼拝を行うモスクが至る所にあり、礼拝の合図となるアザーンは1日5回流れます。また一部、キリスト教やヒンドゥー教、仏教徒の人もおり、教会や寺も少数ながらあります。
言語
インドネシアは民族がそれぞれ保有する言語を使っています。
ジャワ島では、主にスンダ人とジャワ人が暮らしており、スンダ語とジャワ語が同じ民族同士で使用します。異なる民族同士では、民族語がほぼ通じないので、公用語のインドネシア語が使われます。
主要都市
ジャワ島の主要都市は、ジャカルタ・バンドン・ジョグジャカルタ・スマラン・スラバヤの5つです。
先に述べたスンダ人が多く分布する地域が、ジャワ西部のジャカルタやバンドンで、ジャワ人は、スマランやジョグジャカルタなど、中部から東部にかけて暮らしています。
交通
ジャカルタでは、特にバイクや車社会による交通渋滞が社会問題になっています。
近年人口増加と都市部への人口流入が拍車をかけており、渋滞緩和に向けて2012年に MRT建設を着工し、2027年ごろに一部開業を目指しています。
滞在時は、GrabやGo-Jekアプリを移動サービスとして重宝していました。
アプリで自分の現在地と目的地を入力すると、近くにいるドライバーを見つけてくれます。目的地もすでにドライバーがアプリで把握しているので、難なく移動ができます。
ジャワ島の文化
ジャワ島はイスラム教徒が大半を占めるため、イスラム教の影響を受けた文化が栄えています。
服装
イスラム教徒の女性は、ヒジャブと呼ばれる一枚布で頭を覆い髪の毛を隠します。また、肌の露出を極力避けるために、どんなに暑くても長袖と長ズボンを履いています。
ジャワ島では、ヒジャブをつけた女性を当たり前に見かけます。
とはいうものの、ヒジャブ着用は個人の意思に委ねられていたり、地域差もあります。イスラム教徒だからといって必ずしも上記に則っていない女性もいます。
一方のイスラム教徒の男性は、一般的に礼拝の際にサルンという一枚布を腰から足にかけて巻きつけます。
食事
食事は、右手をスプーンのようにして手で食べます。もちろんスプーンやフォークを使うこともありますが、特に祝い事など催事の際には、伝統に重んじて手で食べている人が多くいます。
また、主に米を主食にしており、サンバルと呼ばれる辛いソースをつけたり、インドネシア語で唐辛子を意味するチャベと一緒に揚げ物を食べたりするなど、辛い料理が多く目立ちます。
芸術
ジャワ島には、ワヤン・クリという伝統芸能があります。ワヤンは影、クリは皮を意味し、水牛の皮に透かし彫りと色付けをした人形を使います。
ストーリーは、インドより伝承された叙事詩をもとにしており、ガムランという伝統音楽に乗せて、人形使いかつ歌い手のダランが舞台中央で影絵の芝居をします。
通常、影絵の劇は夜にスタートし朝方まで催されており、滞在中に結婚式の催事で開催されたワヤン・クリを観ました。
実は、芝居は全て古語のジャワ語で、ネイティブのジャワ人にとっても理解するのが難解なほどです。
そのため、インドネシア語を少しかじっただけでは、芝居の様子から読み取るだけで精一杯でした。しかし、ガムランの音色が素敵で、飽きることなく朝方まで見ていました。
工芸
ろうけつ染めバティックは、中部ジャワ Pekalongan(ペカロンガン)発祥。チャンティと呼ばれる細い筆を使ってろうを布に垂らしていく作業は、まさに職人技です。
バティックのTシャツやスカートなどの洋服がジャワ島のお土産として有名です。
その一方で、化学染料が川に垂れ流しとなるなど環境汚染も問題視され、最近は、自然染料を使用するバティック工房が注目されています。
催し物
一年を通じて、イスラム教に通ずる催事が執り行われますが、中でも一大イベントが1ヶ月間に及ぶ断食です。
断食は、日の入りをしてから一切の飲食を断ちます。しかしその間は特に休むわけでもなく、通常通り勉強や勤務をします。断食明け(Buka Puasa)では、友人や家族が集まって食事を楽しみます。
日没後には、いきなり何も飲まず食わずの状態からいつも通りの食事をすると体に負担をかけるため、水分を摂ったり軽食をします。
その軽食が道端で売られることになるのですが、この時期にしかお目にかけられない食べ物が多く並び、断食明け前には多くの人が買い求めにきています。
まとめ
インドネシアの島々で最大の人口を有するジャワ島。
イスラム教徒が大半を占めており、イスラム教の影響を受けた文化が繁栄しています。この記事では、私の1年間の滞在経験から得た知見をもとにジャワ島の特徴と文化を解説しました。
ジャワ島は行けば行くほど、その特徴や仏教の文化を持つ日本とは異なる文化に魅了される島です。