インドネシアの断食月「ラマダン」とは?

最近は日本でも、「ラマダン」を知っている人が増えているのではないでしょうか?

・そもそもラマダンって何?
・誰が何をするの?
・日常生活や仕事への影響は?

など、日頃インドネシア人ムスリムと関わりのある皆さんは気になっているかもしれません。

今回のコラムでは、気になるラマダンについて詳しく解説、またラマダン後にやってくるレバランについても書いてみたいと思います。

《プロフィール | 杏子スパルディ》

2003年、留学先のアメリカでインドネシア人たちと出会い在米期間中インドネシアコミュニティにどっぷりとハマる。帰国後インドネシアに単身渡り現地採用で外資・日系企業にて合計14年勤務。現在はフリーランスのインドネシア語コーチ、コラムニストとして活動中。インドネシア人夫と小学生の子供二人と西ジャワ州在住。

ラマダン (Ramadhan)とは

ラマダン (Ramadhan)とは、イスラム暦の9番目の月を意味します。普段私たちが使っている西暦とは異なるため、毎年時期が若干違います。今年は4月22日夜に、新月が空に確認されたことをもって、4月23日がラマダンの初日と定められました。

新月の確認をしてラマダン月の開始が決まるのは世界のイスラム教徒みんな共通ですが、具体的にはインドネシアではこのラマダン入りの決定は宗教省が会議を開き、新月が観測されたら政府として正式にラマダン入りを発表します。毎年この会議の様子はテレビで生中継されます。

五行とは

イスラムには基本となる「五行」があります。

五行とは

・信仰告白
・礼拝
・喜捨
・断食
・巡礼

の5つで、ラマダンの断食は全ムスリムの義務なのです。

病人や妊婦、幼い子供は断食をしなくてもいいとされていますが、妊娠中にも断食をする妊婦さんもインドネシアには多くいます。また月経中の女性も、血が不浄なものであるという理由から、断食も礼拝もお休みになります。

私の住むインドネシア西ジャワ州だと、早朝4:20頃~ 18:00頃までが断食の時間になります。朝(空は真っ暗の夜中です)の2:00 – 3:00には食事の準備をし、4:00頃には食事を済ませて断食に入ります。

ラマダンの断食というと飲食をしてはいけないだけ、というイメージがありますが、実は禁止されているのは飲食だけではありません。喫煙、性行為、泣く・怒るなど感情的になることもしてはいけません。ラマダンの断食が始まる前に、家族・友人・同僚などに、これまでの過ちを誤り許しあってから断食初日を迎えるインドネシア人ムスリムがほとんどです。

ラマダンは「神聖な月」なのです。イスラムの中にはPahala (パハラ)と言って、善行をすると積めるポイントのようなものがあります。神聖なラマダンの月にする善い行いにつくPahalaは、通常の何倍にもなると言われます。

Terawihとは

そんなラマダンの期間、毎晩Terawihと言う特別な礼拝がモスクやムショラ(礼拝所)で行われます。

この礼拝は五行の中の義務の礼拝(一日五回)とは別の礼拝です。夜の礼拝(インドネシア国内では19:00過ぎ)が終わった更にあとにする礼拝で、通常の礼拝よりも長く時間がかかります。これが終わるのは夜21:00近くになります。(自宅でこのTerawihの礼拝をする人もいます)

先述のように、夜明け前から起きて食事や礼拝をしていて更に夜まで忙しいのです。もちろん、忙しいとか大変という概念をもっている人はほとんどいませんが・・・。

ラマダン中の仕事

そうなると出てくるのが「寝不足」問題です。私もインドネシア国内での企業で勤務経験がありますが、ムスリムのインドネシア人たちは寝不足・空腹で集中力が低下した状態の人が多いです。断食中なので、お昼の休憩には食事の代わりに昼寝をする人が多いですが、それでも仕事の効率は普段よりも悪いです。

機械などを使う作業がある工場や会社であれば、安全への注意を普段以上にした方が良いでしょう。パソコン作業をする人たちも集中力の低下から、普段はしないミスをすることもあるので要注意です。また、断食が始まって最初の数日は、体が慣れるのに少し時間がかかる場合もあり、寝不足に加えて頭痛など体調不良になる人も多いです。

インドネシア国内ではラマダンの期間中は就業時間を繰り上げる企業がほとんどです。早朝の礼拝を終えたら二度寝することなく出社し、普段よりもはやく退勤し自宅で断食明けを迎えるためです。

インターネット上ではラマダンの前になると「残業をしないで早く帰れる方法」といった記事が多くでるほどです。日本国内で働く(インドネシア人やその他)ムスリムは、インドネシア国内での勤務体系と同じとはいかないと思いますが、お昼休みに休息をとれる場所の確保(礼拝スペースでも可)や、断食明けの時間に食事や休憩がとれるよう時間と場所を用意してあげるのが望ましいです。

レバラン(Lebaran)とは

最後に、この一か月の断食月(ラマダン)が終わるとやってくる「レバラン」について少し書きたいと思います。

レバランとはインドネシア語(Lebaran)で、国際的にはイード(Eid) と言われる断食明け大祭のことです。よく「お盆とお正月が一緒に来た感じ」と表現されるくらいインドネシア人ムスリムにとって大切で大きな意味を持つレバランです。約10日ほどの大型連休になり、人々はジャカルタや首都圏から一斉に地方へ大移動(帰省)します。

この期間は小さな商店からレストラン、役所、税関や物流などほとんどが休みになります。日本国内の企業でも、インドネシアに取引先がある場合などは、この大型連休の前に重要な案件は済ませておくことをお勧めします。

レバラン前夜はモスクから一晩中大音量で「アッラーは偉大だ」と讃える音声が鳴り響き、あちらこちらで花火が上がります。人々は洋服を新調し、特別な料理を用意してこの日を迎え、子供たちにはお年玉も配られます。

朝はレバランの特別な礼拝をしにモスクへ行き、その後午前中いっぱい(長い時は丸一日かけて)親戚の家をまわりレバランの挨拶をします。インドネシア語では”Mohon maaf lahir dan batin” といい、過去の過ちを時にはお互い涙を流しながら謝り、許し合います。

コロナ禍ではインドネシア国内でも政府の方針で地方への帰省ができない時期もあり、その時はスマホでテレビ電話でこのレバランの挨拶をする人も多かったです。日本で働くインドネシア人ムスリムはきっとレバラン休みの帰省はないと思いますが、国の家族にビデオ電話でもレバランの挨拶をするのではないでしょうか。

まとめ

以上、ラマダンとレバランについて、そもそもラマダンとはなんなのか、特にインドネシア人ムスリムがどのように過ごすのか、仕事へのどんな影響があるのか、そしてレバランについてでした。

この情報がインドネシア人と働く皆様のお役に立てば幸いです。