【インドネシア人の視点から】インドネシア人の国民性を紹介

世界各国には自然の豊かさ、文化、言語、そして国民に共通する「国民性」など独自の特徴があるはずです。

インドネシアの総人口は2億7,500万人を超え、中国・インド・アメリカに次いで世界第4位です。大多数がマレー系ですが、ジャワ、スンダ等約300種族に大きく分類されています。

多民族国家のインドネシアはどんな性格や国民性を持っているのでしょうか。インドネシア人である私が簡単に自国の国民性についてご紹介します。

《プロフィール | ティナ》 インドネシア・マラン出身、日本在住歴12年。日本の文化や漫画が好きで、高校卒業後日本に留学。大学卒業後、某自動車部品メーカーでインドネシア人技能実習生受け入れを3年間担当。現在はフリーランスの翻訳者。

信心深くて無神論者はありえない⁉

インドネシア国民の宗教は大半がイスラム教(約86.93%)、キリスト教プロテスタント(約7.47%)、キリスト教カトリック(約3.08%)、ヒンドゥー教(約1.71%)、仏教(約0.74%)、そして儒教(約0.03%)(この6つの宗教が公認宗教)です。

その他、公認宗教ではない宗教、そしてかなり少数派の神が存在しないと主張する無神論者です。

昔からインドネシアでは親が、子供に自分の信仰を受け継がせる習慣があります。

例えば、親がイスラム教徒であれば、子供もイスラム教徒となり、イスラム教の学校で教育をさせるのが一般的な流れです。

大人になったら宗教を変えることはできますが、家族や周りの人々に反対されるケースが少なくありません。

無神論者に関しては、明確な法律は特にありませんが、社会的には「非常識だ」や「変わり者だ」などとネガティブなイメージを持たれることもあります。

インドネシア人の身分証明書(KTP: Kartu Tanda Penduduk)や戸籍謄本(KK: Kartu Keluarga)には宗教欄があります。

また、インドネシアでの婚姻は、インドネシアで認められている宗教に従って婚姻の儀式を行い、インドネシアの法律に従い宗教大臣の下で婚姻が成立します。

そのため、宗教を変える人や無神論者にとっては様々な手続きを行うのがより複雑になるでしょう。

各宗教には、お祈りタイミングがあり、どんなに忙しくても、仕事を中断してお祈りにいきます。また、祝日も宗教関連の祝日が多いです。

何らかの問題に直面するときに「それが神様からの試練であり、辛抱強く、神様にたくさん祈ったら、乗り越えられるでしょう」とよく回りの人に言われます。

常に、インドネシア人の心の中には神様が存在し、宗教を中心に日常生活を送っていることがわかりますね。

家族愛が強い

イスラム教の教えの中に

“Surga ada di telapak kaki ibu”「天国は母の足元にある」

という言葉があります。

天国の門は母親を尊敬し、大切にする者へ開かれるという意味です。

この教えは非常に有名で、学校のインドネシア語の教科書にも多く取り上げられています。インドネシアでは、お金持ちと貧乏の差が激しいです。

子供を大事に育てて、大学まで行かせるために、親は一所懸命働いています。そのため、多くの若者が恩返しとして親を喜ばせることを優先的に考えます。

また、親が年をとっても老人ホームに入れることはなく、家族が世話をするのが一般的です。

老人ホームに入れたらお金がかかることや、年老いた両親に対して親孝行でないと周囲に思われるなどマイナスなイメージがあることが主な理由です。

フレンドリーで面度見が良い

インドネシア人は裏表がない人が多いです。そのため、知らない人にでも笑顔を絶やさず、フレンドリーに接します。知り合ったばかりでも、家に呼ばれて、ご飯を食べさせてくれることもよくあります。

そしてインドネシア人は困っている人がいれば、すぐに助けるという面倒見が良い性格としても知られています。

私の経験ですが、インドネシアから日本行きの飛行機に搭乗した際、急に体調が悪くなり、エチケット袋を探す余裕がないぐらい大パニックになりました。

隣の席にいた見知らぬインドネシア人の女性が素早く自分のエチケット袋を渡し、私の背中を優しくさすってくれました。この経験を通して、改めて自国の人はこんなに優しいのかと実感しました。

楽観的な人が多い

インドネシア人には「できる限り努力し、後は神様の力を信じて、何とかなる」という楽観的な考え方の人が多いようです。そのため問題が発生しても、インドネシア人はあまり深刻に悩みません。

このようなポジティブな考え方はとても良いですが、問題を解決できないときや良い結果が出ない場合「これはすべて神の運命で仕方ない」と思い込み、自分を反省しないで諦める人もいます。

ストレスが多い世の中で、良くも悪くも、この「なんとかなる精神」を見習いたいです。そうしたらどんな困難に直面しても、深刻に悩まず、「大丈夫!」だと解決できる自信を生み出せるでしょう。

時間感覚がゆるくてのんびり

インドネシア人の時間感覚は

“Jam Karet” 「ゴムの時間」

という言葉でよく表現されています。

時間はゴムのように伸びることができ、柔軟だという意味です。

そのため、約束の時間通りに来なかったり、急に約束時間が変更されたり、また最悪な場合ドタキャンされることもよくあります。

時間に厳格な日本人にとっては、時間感覚がゆるいインドネシア人と関わるときにかなりストレスになってしまいます。

インドネシア人が時間にルーズな理由は、元々穏やかでのんびりとした性格の人が多いことに関係があります。

日本を訪れたインドネシアの友達が「日本人は歩くスピードが速い」と一番驚いたようです。

「なぜ日本人はそこまで焦っているのだろうか」と疑問を投げかけました。

インドネシアではのんびり歩いている人が多く、道端で「ぼーっ」としてスマートフォンをいじる人や友達と喋っている人もいます。時間がゆっくり流れているような光景は珍しくありません。

未だに黒魔術、幽霊、迷信を信じている

宗教を持っていても、幽霊、黒魔術、迷信を信じているインドネシア人は今でもいます。

一つの要因は「状況をコントロールできないとき、すぐに自分の周りのものと関連付ける」という考え方が強いからです。

今でも、健康上に問題がない家族が急に病気になった際に「誰かが黒魔術を送ってきたのではないか」、子供が盲目的な恋愛をしていると親は「相手が黒魔術をかけていたのではないか」などと考えるケースもあります。

チャンネル登録者数940万人以上、幽霊たちとのコミュニケーションをメインコンテンツとするインドネシア人YouTuberの動画は毎回の動画再生回数が200万回以上と非常に人気です。

また、ホラー映画も人気で、超常現象の体験などもすぐSNSで拡散されます。これらからもインドネシア人が超常現象や幽霊の目撃などという話が大好きで、多少幽霊のことを信じていることがわかります。

日常生活においての迷信も多いです。例えば、未婚の女性に対して「きれいに掃除しないと、将来は髭がボーボーの人と結婚する」という迷信があります。

ちゃんと掃除しましょう、ということですが、髭がボーボーな男性が好きな女性に対しては特に問題ないので、面白い迷信です。

まとめ

ご紹介した内容はもちろんインドネシア人全員に当てはまるというわけではありません。

多民族国家のインドネシアは、民族、宗教、住む地域、育った環境によって価値観も性格も様々です。国民性を理解し、お互いを尊敬することで、外国人と良い関係を築くことができるはずです。

インドネシア人を理解しようと思ったときに少しでもご参考になれば幸いです。