インドネシアは赤道を挟んで沢山の島々が散らばっており、それを1つの国にした共和国です。
常夏で一年を通して気温の変化は少なく、明るい日差しが降り注ぎ、色とりどりのトロピカルフルーツがいつでも食べられます。
そんな南国の気候を反映するように、インドネシア人の第一印象は、明るく温かく少しのんびりとした人柄が伝わってきます。
しかし、一言にインドネシア人と言っても、島が変われば使われている地方語も変わり、文化も外国に来たかのように変わります。
今回は出身地別に、一般的に多く見られるインドネシア人の人柄を紹介したいと思います。
《プロフィール|奥多実果(ペンネーム)》
20代の頃は介護福祉士として仕事を楽しんだ。旅行で訪れたインドネシアで人々の笑顔と朗らかさに魅せられジョグジャカルタへ遊学。現在インドネシア人と結婚し、現地で翻訳や言語講師や地域活動を行いつつ、インドネシアと日本の架け橋になるべく奮闘中。
インドネシアの地域別の人柄
ヌサトゥンガラ地方
おそらく日本人が南国の人々をイメージする際に真っ先に思いつくのが、このヌサトゥンガラ地方の人々だと思います。
底抜けに明るく太陽のように輝く笑顔が特徴的です。喜怒哀楽の表現が大きく、気分が良い時は家でも道でも1人で歌い、人と集えば大抵は踊りだします。
老若男女とても人懐っこく、挨拶の時にハグは欠かせません。初対面でも簡単に打ち解けることができ、友人は家族のようです。
そして、友人の家に遊びに行くのに事前に許可などは必要なく、突然訪ねてそのまま何泊か滞在することもあります。
プライバシーや自分の予定よりも、お客さんの事を考えてくれる優しい人達です。そして、遠慮という感覚も無く非常に甘え上手です
以前に、私がデング熱にかかり寝込んでいた際の経験では、
友人達が毎日お見舞いに来てくれて(私は高熱と頭痛で静養したかったのですが)、元気が出るようにとベットの横で沢山歌ってくれました。
一方で、悲しみの表現も大きく、家族や友人の葬儀の時などは、大人でも大声で泣き悲しみます。また傷つきやすい面も持ち、怒りの感情も強く、暴力的な手段に出る事もあります。
たとえば、私がドッチボールを学生達に教えていた時の事、ルールを説明した上でゲームを始めたのですが、皆んなボールを“渡す”ように投げていたので、私が1人の男の子に目掛けて“当てる”ように投げたら、その子がとても傷ついて、そして私に思いっきりボールを投げ返して“仕返し”をされてしまった経験があります。
この地方は小さな島が連なり、外部からの情報も乏しいため、新しい変わったゲームにすぐに順応できなかったのだと思います。
ただし、日本などに働きに来る場合、故郷の島には大学が無いため、まずはジャワ島やスマトラ島の大学へ行く必要があり、インドネシア国内でも違った文化に触れる機会があるため、都会的な言動も同時に学習しています。
ジャワ島
首都ジャカルタがあるのもこのジャワ島であり、インドネシアの中でも1番現代的で発展した環境です。
また、日本の京都のような古都も存在し、伝統や規律を大切にする傾向があります。日本人と似た感覚をもっていて、遠慮したり恥ずかしがったりする、少し控えめな部分が特徴的です。
たとえば、知人の家を訪ねた際には、
もてなし好きなインドネシア人ですから必ずお茶とお菓子を出してくれるのですが、どんなにお腹が空いていても、2、3回「どうぞ」と勧められるまで手をつけませんし、全てを食べきらずに少し残します。
ハッキリと意見を言わない事も多く、それは家庭内やご近所関係にとどまらず、ビシネスシーンにおいても見られます。
たとえば、価格表示をしない事があります。
個人的な経験では、
マッサージを頼んだ際に価格を尋ねると「おまかせする」とか、修理の費用を尋ねた際にも「好きな額で良いよ」とか、タクシーも「自由に決めて」
と言う返事でした。
本当に“おまかせ価格”で良いのか不思議だったのですが、ある時、マッサージをしている友人が“おまかせ価格”で働いた後に
「あのお客さん、これだけしか支払ってくれなかった」
と裏で泣いているのを見て、
やはり建前と本音は違うんだなっと思った事がありました。
スマトラ島
インドネシア国内でも、スマトラ島の気質はジャワ島の気質と真逆と言われています。スマトラ島では遠慮したり遠回しな言い方はしません。
食事が提供されれば喜んで残さず食べます。残す方が失礼に当たると思っています。
会話の声も大きくハキハキと喋り、“イエス”“ノー”がハッキリとしていて裏表がありません。そして自分の意見をストレートに他人にも伝えるので、まるで喧嘩しているように見える事もあります。
また、冗談を言うのが大好きで、どこから冗談でどこまで本気なのか分からない事も多いです。人が集まれば冗談大会となり笑い声が絶えません。
歌うのも好きで、仕事中でも携帯電話で音楽聴きながら熱唱していたり、人が集えばギターを弾きながら皆んなで歌っているのをよく見かけます。
車やバイクの運転は荒いことで有名で、インドネシア語で“Sopir Medan”(メダンの運転手、つまり荒い運転の意味)という慣用句が出来るほどですが、これも積極的で行動派な性格の人が多い事の証拠だと思います。
自信家でものおじしない性格はビジネスシーンにおいても見られます。セールスポイントを伝えるのが上手で、強気な価格を提示してきます。
ある時、友人が作ってくれた食事が美味しかったので褒めたら
「そうでしょう!これは希少なスパイスを使って作ってるから他所ではたべられないのよ!注文してくれたら何時でも作ってあげる。」
と、すかさず営業トークになっていました。
男性と女性の性格の違い
男性と女性の性格の違いに関しては、世界共通かと思いますが、インドネシア人も男性の方がプライドが高い傾向があり、女性の方がマルチタスクが上手で働き者が多いように思います。
たとえば、男性は褒められると喜び、指摘されるのを嫌います。また、知ったかぶりしてしまうこともあります。
一方で、国民の80%以上がイスラム教という環境ですが、中東のような男性社会というわけではありません。
私が日々目にする日常生活においては男女平等です。教育や就職に関しても男女等しく機会が提供されていますし、家庭内でも男性も積極的に家事や育児に関わり、女性も働きに出ます。
こうした点を考えると、インドネシア人の性格の違いは男女差からではなく環境の違いを反映していると思います。
インドネシア人男性の性格
インドネシア人男性は、老いも若きもおしゃべり好きで社交的です。
我が子と遊ぶのがステータスなので、インドネシアでは父親と娘も仲良しな場合が多いです。チャットアプリのプロフィール写真が、独身なら恋人の写真、既婚なら家族写真です。
イスラム教徒に関しては、同棲は禁止されていますが、3人まで妻を持つことが許されています。
インドネシア人女性の性格
日本人女性ほど働き者で優しい女性は少なく思います。
ただ、社会的に結婚出産離れが指摘される日本と比べて、インドネシア人女性は結婚出産が人生の目的であり中心です。
家庭と仕事を両立させたいと思っているキャリアウーマンは、夫が主夫になるか、お手伝いさんを雇うか、祖父母に子育てをお願いするのが一般的です。
祖父母も孫のお世話をする事に生きがいを感じているので、大抵は大歓迎されます。
まとめ
本記事では、インドネシア人の人柄をいくつか紹介してきましたが、人口2億7千万以上と言われているインドネシア人のほんの数例です。
実際に会って会話した人の人柄を皆さまが感じ取って頂くのが1番です。
この記事は、事前に情報があれば安心できる方の、また言語の壁や文化の違いで接し方に戸惑った際の、1つの参考情報になればと思います。