【現地で働く経験から】インドネシア人と仕事をする際に注意すべきこと

本記事では、インドネシアで生活する私が自身の経験も踏まえて、インドネシア人と仕事をする際に注意すべきことを紹介します。

《プロフィール|奥多実果(ペンネーム)》

20代の頃は介護福祉士として仕事を楽しんだ。旅行で訪れたインドネシアで人々の笑顔と朗らかさに魅せられジョグジャカルタへ遊学。現在インドネシア人と結婚し、現地で翻訳や言語講師や地域活動を行いつつ、インドネシアと日本の架け橋になるべく奮闘中。

インドネシア人の仕事観

インドネシアを旅行すると、のんびりとした雰囲気でゆっくりと時間が流れていくように感じますね。

これはインドネシア人がゆっくりと働いているからでしょうか?まずはインドネシア人の仕事観から説明していきたいと思います。

一般的なインドネシア人の仕事観

インドネシアは、貧富の差が大きいので働く理由もそれぞれですが、どの国の人でも大抵は自立して家族を養うために働いていてインドネシア人も例外ではありません。

たとえば、学生達に将来就きたい仕事を聞いてみると、公務員、銀行員、教師と言った返事が返って来ることが多いです。

みんな定職に就きたいと思っていることが伺えます。

一方で、当然ながら公務員や銀行員などになれる人は少なく、定職に就くことすら難しい社会で、日雇い労働も沢山存在します。

また、一般的には職業によって人の価値を判断する傾向も強く、社会的地位の高い仕事に就きたい、苦労せずに儲かる仕事がしたいと多くの人が願っているのも確かです。

インドネシアでは、個人で簡単に開業する事が可能なので、副業している人も多くいます。

最近は、インターネットを使ったサービスも発達して、主婦や学生でもフリーランスとして働く人が増えました。

仕事とプライベートの考え方

インドネシア人は、仕事を中心とした生活をするのかというと少し違ってきます。

家族との時間や宗教行事や地域活動などが、生活の最優先事項となるためです。

たとえば、ご近所で不幸があった場合は葬儀や埋葬の手伝いはとても大切な事で、仕事のことなど投げ出して仲間を助けようとします。

また、お祈りの時間になれば、顧客を待たせる事になっても躊躇なく祈りを優先させます。

インドネシア人にとって、生活の中でお金よりも仕事よりも重要なものが沢山存在するのです。

インドネシアでの「サービス」について

インドネシアでは”サービス”は、仕事には含まれません。

日本であれば、当たり前のように付いてくる笑顔や丁寧な商品説明と言ったサービスはインドネシアでは期待できないのです。

私は以前、インドネシアで天井の修理依頼を依頼したことがあります。

その際、大工と名乗るお兄さんが1人で手ぶらで家にやって来ました。はしごも修理道具も一切持って来なかったのです。

確かに修理依頼した際に、修理道具を持参する“サービス”が付くか確認していませんでした。

もし、大工さんに道具の用意をお願いしたら、それも“仕事”としてお金を請求されるので、致し方なく必要な道具は全てこちらで用意しました。

その際に、以前日本から遊びに来ていた友人が呟いた「売り手と買い手のパワーバランスがおかしい」という一言を思い出しました。

インドネシアでは、働く人がとても尊重されていますから、お客様は神様にはなれそうにありません。

インドネシア人と日本人の働き方の違い

日本では「時は金なり」という考え方をしている人が多いですよね。

時間厳守で、仕事中は一生懸命に働き、就労時間中に私用電話などあり得ません。

一方で、休日には仕事関連で煩わされたくないと思いますね。また、日本は資格社会でもあるため「したい事=仕事」とはなりにくいです。

一方で、インドネシア人の働き方はどうなのでしょうか?職業によっても変わるので、今回は3パターン紹介したいと思います。

従業員の場合

働く時間が決められているので時間厳守の意識を持っていますが、出勤さえしてしまえば給与が貰える安心感があります。

スーパーへ買い物に行くと従業員同士、人生相談をしながら棚出し作業をして、通路を塞がれたお客さんが迂回するなんて場面によく出くわします。

すべき仕事はするのですが、仕事中にしてはいけない事の規則は割と緩いです。子どもを職場に連れて来たり、私用電話をすると言ったりした光景も日常的に見られますが、仕事のために家族を犠牲にしないからだと思います。

また、オープンな気質のインドネシアでは、仕事用の電話が個人の電話番号である場合も多く、公私の区別がつきにくいため、休日でも仕事の電話が入ったりしますが、それを負担に感じている人はあまりいません。

自営業の場合

収入が自分の頑張り次第なので、お金が必要な時は24時間365日仕事をする勢いですが、仕事の品質を気にする人は少ないです。

仕事の受注を、ダブルブッキングしても気にせず、割の良い仕事からこなしていくマイペースな強さを持っていますが、目先の収益を優先しがちです。

また、一度でも経験があれば立派なスキルとなり、開業するための法律も少ないため、主婦や学生でも屋台からケータイショップ、大工に至るまで開業して隙間時間に働ける環境を自ら作り出しています。

働き者な国民性ですが、売れれば儲け物な考え方で、その品質に関して、日本人は満足できないことが多いでしょう。

雇用主の場合

自営業で金銭的な余裕ができると従業員を雇う事を好みます。

インドネシアでは、若者が多く買い手市場なので、良い人材がよりどりみどりです。

低賃金でも、労働力探しには困りません。そして雇用主は金銭管理のみをしてデスクから動かず、従業員に指示を出し働かせるのが上手です。

一方で、一般的には雇い主は従業員を大切にするため、急な遅刻や欠勤や早退も柔軟に対応します。

従業員の私生活に配慮を払いますし、さらには従業員の宗教によって休暇時期やボーナス時期を変える必要があるため、面接の際に宗教を確認するのも日本とは真逆の習慣です。

インドネシア人と働く時に注意すべきこと7選

ここからは、インドネシア人と働く際の7つの注意点を紹介します。

➀人前で怒らない

インドネシア人は、子どもをとても大切に育てます。よく子どもがかんしゃくを起こして泣き叫んだり、親を叩いたりする場面を見かけますが、インドネシアでは人前で怒られる事は非常に不面目な事とされているため、親は子どもを叱りません。

もし仮に怒らなければいけない状況の場合は、一対一の場面に限り、大勢の前で言わなければならない場合は笑顔でお願いするように伝えるのが賢明です。

②前払いはしない

インドネシア人にとって、仕事はお金を稼ぐ手段なので、お金を受け取ったら働く意欲が無くなってしまいます。働いた分だけ後払いにすると問題を防げます。

➂親切がゆえに断れない

何かお願いされると断れない性格の人が多く、悪気無く出来ないけど出来る、分からないけど分かると答えてしまいます。

本当に出来るのか、しっかりと確認をした方が良いです。

④質問する事をためらう

一般的なインドネシアの教育過程においては「質問をする」という機会が少なく、質問し慣れていないインドネシア人も少なくありません。

また、もし話しかけたい相手が忙しそうにしていたら、邪魔をしてはいけないと言う気持ちから、質問があっても我慢してしまう可能性も高いです。

適宜、こちらから話しかけるなどのコミュニケーションがとりやすい環境を整える事も大切になります。

⑤個人情報管理・秘守義務の徹底

インドネシア人は、とてもフレンドリーで教えたがりです。初対面でも、気軽に家族構成や電話番号を聞けますし、実際に教えてくれます。

以前、私が行政機関に行った際に、書類の書き方で迷っていたら、係の人が「これを見本にしたら良いよ」と、誰かの個人情報満載の書類を渡してくれました。

とても親切なのですが、日本では大問題になる事をしっかりと伝えておく事が大切です。

⑥義理と情に厚い

とにかく人間関係を大切にするので、仕事は後回しにされる事があるかもしれません。

でも、ここで「理解ある行動」を取っておけば義理堅いインドネシア人ですから、いつの日か仕事の枠を越えて良い関係を築けるかもしれません。

⑦貸し借りは慎重にする

先程、理解ある行動をと言いましたが、物やお金は貸さない方が賢明です。

日本人であれば借りたものは大切に使って、きちんと返すのが常識ですが、インドネシア人の場合は永久に借りっぱなしで、又貸ししている可能性もあります(しかもお金を取って)。

また、貸したお金は絶対に戻って来ないと思って良いです。色々と事情を並べ立て絶対に返すと言う人ほど返しません。

あげても良いものだけ貸しましょう。会社の備品を持ち帰ってはいけない事も予め伝えておきましょう。

まとめ

本記事では、インドネシア人と仕事をする際の注意事項について、私の体験をもとに紹介しました。

日本でインドネシア人を受入れする際にも、ぜひ本記事の内容を参考にしていただければ幸いです。