本記事では、日本在住歴12年のインドネシア人である私が、多くの日本人と関わってきた経験から、いくつかの日本人の性格や特徴について簡単にご紹介します。
日本人と良い関係を築くことができるように、今後日本で働く予定のある技能実習生や観光で訪日する予定のある外国人の皆様を対象に少しでもご参考になれば幸いです。
《プロフィール | ティナ》 インドネシア・マラン出身、日本在住歴12年。日本の文化や漫画が好きで、高校卒業後日本に留学。大学卒業後、某自動車部品メーカーでインドネシア人技能実習生受け入れを3年間担当。現在はフリーランスの翻訳者。
礼儀正しく、マナーを守る
初めて日本語を勉強したときに「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」といった日本語における敬語が数多くあるので、覚えるのがすごく大変でした。
また、なぜそのような使い分けをするのかと戸惑いました。
言葉遣いだけではなく、お辞儀についても、状況によって角度が変わることにも非常に驚きました。
日本での生活に慣れてくると、お辞儀や敬語をしっかり使い分けられることで、相手に対する「敬意」や日本人の「礼儀正しさ」を理解できるようになりました。
日本の電車は時間通りに到着し、数分程度遅延する場合でもお詫びのアナウンスがあります。
日本人にとって時間を守ることはとても大切なことで、人として最低限のマナーだという考え方がとても素晴らしいです。
また、サッカーワールドカップで日本代表のロッカールーム清掃や日本人サポーターのスタンド内でのゴミ拾いを取り上げたニュースが世界から称賛を集めていました。
この素晴らしいマナーを多くのインドネシア人が身に付けたら、ゴミをポイ捨てる習慣がなくなり、ゴミ問題への意識も変わるかもしれません。
本音と建て前を使い分ける
裏表なく、物事をはっきり言うインドネシア人と異なり、日本人には本音と建前を使い分ける印象があります。
日本人と初めて関わる外国人からしたら、嘘なく心の中で思っている本心の「本音」と本心を隠して相手のことを配慮して気持ちを伝えていくことの「建前」を分ける必要があるのか?と考えるでしょう。
某自動車部品メーカーで、インドネシア人技能実習生受け入れを担当していたとき、この特有な性格を持つ日本人に対して、初めて来日した実習生が苦労していました。
例えば、実習生が「残業時間を増やしてほしい」と日本人上司に相談した際に、本音では「できません」のはずなのに「検討します」と伝えられました。
「検討します」と言われたため、実習生は希望が叶うと思ってしまい、結局残業を与えてくれなかったことに対して実習生はガッカリしていました。
日本人は、周りに気を遣うことと協調性を大事にしています。
「思っていることをそのまま相手にぶつけるのは失礼」、「相手を傷つけたくない」、「その場の雰囲気を壊したくない」などという日本人の繊細な考え方が、本音と建前を使い分けることに繋がっているかもしれません。
本音と建前を分けるのが、日本人が周りとの良好な人間関係を維持するために必要な手段です。
こういった日本人特有の性格をネガティブに捉えず、日本人と交流する際に上手く「本音」と「建前」を使いこなせたら、円滑な人間関係を築くことができるでしょう。
仕事熱心な人が多い
インドネシア人に日本人のイメージについて聞くと「仕事に対して勤勉で真面目」と答える人が多いようです。
インドネシアでは、宗教や家族のための時間を重視している印象があります。
一方で、働き方改革で状況は変わっており、人それぞれではありますが、日本では一般的に「家族よりも仕事を優先」するという印象があります。
良い悪いは別にして、私が日本の企業に新人として入社したとき、就業時間の1時間前には既に出社している先輩社員がいました。
その先輩は、今日のスケジュール確認や仕事の準備をしていました。また、体調が悪い時でも有給を取らずに出勤している姿を見て、すごく素晴らしい社員だと思いました。
日本では創業100年超えの企業が多くあります。
一つの企業で、定年まで働く傾向がある日本人の仕事への献身、愛情、モチベーションなどが会社を支える一つの要因なのではないでしょうか。
マニュアル通り
まず私はマニュアルを否定しているわけではありませんが、日本の社会において、様々な場面で「仕様書」「手順書」「説明書」「ガイドライン」などといった「マニュアル」が多いという印象を受けました。
確かに初めて仕事をする新人でも、マニュアルがあることで作業の手順で迷ったり、悩んだりすることなく、一定のレベルの仕事ができ、品質やサービスの均一化が図れます。
しかし、マニュアル通りの仕事に慣れてしまうと、マニュアルに記載されていないことが起きた際、スピーディーに対応できなくなる気がします。
マニュアル人間にならないように、マニュアルに縛られてはいけません。
柔軟な対応できるように、自分なりに新しい発想を生み出して、仕事のやり方を工夫し続けることが大事ではないかと思います。
他人に迷惑をかけたくない、他人に迷惑をかけられるのも嫌い
電車の中で、子どもが騒いだりぐずったりしたときに、親が他の方に迷惑がかからないように注意するのをよく見ました。
日本人は小さい頃から「他人に迷惑をかけてはいけない」と教育されているようです。
ただ周りのこと気にし過ぎて迷惑をかけるのが怖くなり、精神的に疲れてしまうこともあるでしょう。
また、自分が迷惑をかけないので、他人に迷惑をかけられたら嫌になってしまう人もいるかもしれません。
一方、インドネシアに居たとき「他人に迷惑をかけるな!」という言葉はあまり聞いたことがありません。
人間は、一人ではなく、支え、支えられて生きている存在なので、迷惑をかけるのはお互い様だと思います。
もちろん、過剰に人に迷惑をかけるのも良くないです。何事もバランスが大切で「お互い様の心」を持って人と接することが良いのではないかと考えています。
外国人に対する古い考えを持つ
日本人に出身国について聞かれ、インドネシアだと答えると「森の中に住んでいる?」「テレビ持っている?」「電気やガス通っている?」などといった偏った外国(東南アジア)に関する考えを持っている人が多いです。
悪気はないとわかっていますが、初対面でそのようなことを言われたら、少し不快感を覚えます。
また人によっては、外国人に偏見を持っている日本人もいます。
仕事でインドネシア人技能実習生を担当したとき、かなり肌が黒い実習生が何人かいました。
その実習生たちは、特に怪しい行動などしていないのに、道で警察官に止められ、在留カードの確認などで交番まで連れていかれたことが何回かありました。
通訳者として、私ともう一人の同僚はその対応でかなり大変でした。
悪気のない発言や行動でも、相手はそれに怒ったり、傷ついたりするかもしれませんので、出身国や肌の色、顔の特徴で相手の特性を決めつけないことが重要です。
まとめ
遺伝、家族構成、親の育て方、学校生活などによって一人一人の性格が形成されています。そのため、ご紹介した内容はもちろん日本人全員に当てはまるというわけではありません。
「郷に入れば郷に従え」のことわざのように、新しい環境や職場などでは理不尽な事でも妥協して、無理のない範囲でそこでの文化・習慣・やり方に合わせることも必要かもしれません。
そうすれば様々な日本人と良い人間関係を築くことができるはずです。