【国内・呼び寄せ】インドネシアの特定技能外国人を受入れする手続きの流れ

日本に在留するインドネシアの特定技能外国人数は、ベトナムに次いで国籍別で、2番目の人数を誇ります。

また、ベトナム人材の質の低下などが聞かれる中で、今後はインドネシア人を受入れする企業は増える一方であると言えるでしょう。

本記事では、インドネシアの特定技能外国人を受入れするのに必要な手続きの流れをわかりやすく紹介します。

これからインドネシアの特定技能外国人の受入れを検討している企業にとっては、必読の内容となりますので、ぜひ最後までご一読下さい。

特定技能ビザとは

特定技能ビザは、人手不足が深刻な12業種に当てはまる企業(個人事業主も含む)の人手不足を、外国人労働者の労働力で解決することを目的として2019年に作られました。

そのため、特定技能ビザを使えば日本政府が許可した次の12業種にて、外国人労働者(特定技能外国人)を受入れできます。

介護ビルクリーニング素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業建設
造船・舶用工業自動車整備航空宿泊
農業漁業飲食料品製造業外食業

特定技能ビザを取得するための外国人の要件

特定技能ビザを取得するために、受入れ企業と外国人それぞれが満たすべき要件があり、外国人の要件は「技能要件」と「日本語要件」の2つです。

それぞれの業種で設けられている、特定技能の技能試験への合格と日本語能力試験N4などに合格して日本語能力を証明することで、特定技能外国人としての要件を満たすことができます。

一方で「技能実習2号を修了した外国人」については、技能・日本語試験の免除が受けられるため、インドネシア人に限らず、特定技能外国人の多くが、技能実習2号を修了して、特定技能ビザを取得しているケースが多いです。

また、技能実習2号を修了している外国人であれば、最低でも約3年間は失踪などせず日本で就労をし終えたというお墨付き外国人でもあり、日本の生活ルールもわかっているため、受入れ企業としても安心して受入れできます。

技能実習生ルート(技能実習2号の修了者)が多いことは、入管より公表されている次のデータをみても明白です。

特定技能外国人を受入れするための企業の要件

特定技能外国人を受入れするためには、受入れ企業にも満たすべき要件があります。

「税金を適正に収めていること」や「労災保険関係の成立の届出などを講じていること」など、特定技能外国人の受入れ有無に関わらず法的に実施している必要のある事項は、受入れ前に必ず満たす必要があります。

そのため、今回は数ある要件の中でも、特定技能ビザ取得のために特に注意すべき4つの要件を紹介します。

4つの要件は次のとおりです。

  • 1年以内に特定技能外国人と同じ業務に従事する労働者の会社都合での離職がないこと
  • 1年以内に会社都合での外国人の行方不明者がないこと
  • 受入れする外国人の母国語相談に対応できる体制があること
  • 支援責任者と支援担当者が中立な立場で、特定技能への日々のサポートなどをすることができること

それぞれの項目について紹介します。

●1年以内に特定技能外国人と同じ業務に従事する労働者の会社都合での離職がないこと

特定技能外国人と同じ業務に従事する労働者(日本人も含む)に、1年以内の会社都合の離職者がいる場合は、特定技能外国人の受入れができません。

そのため、解雇を行っている場合には、特定技能外国人の受入れのために、就業規定に抵触した労働者を適正な手続きを踏んで解雇したなどの証拠を求められる場合もあります。

●1年以内に会社都合での外国人の行方不明者がないこと

特に、技能実習生を受入れしている企業は、会社に原因のある失踪が1年以内にあった場合には、特定技能外国人の受入れができなくなるため、注意してください。

●受入れする外国人の母国語相談に対応できる体制があること

受入れする特定技能外国人の母国語相談に対応できる体制がある必要があります。

なお、通訳可能な常勤職員を雇用している必要まではなく、委託などで通訳者が確保されている場合でも問題ありません。

●支援責任者と支援担当者が中立な立場で、特定技能への日々のサポートなどをすることができること

支援責任者と支援担当者(兼任可)が、実質的に特定技能外国人を監督する立場にはない者である必要があります。

特定技能外国人の受入れ後には、3ヶ月ごとの定期面談などを、支援責任者が実施する必要もありますが、そのような際にも中立的な立場からの実施が求められることになります。

なお「母国語相談の体制」や「中立な立場の責任者の人選」が難しい場合には、入管より許可を得た登録支援機関に委託することで、特定技能外国人の受入れが可能です。

日本国内にいる人材の受入れ手続き

ここからは、インドネシアの特定技能外国人を受入れする際の手続きの流れについて説明していきます。

まずは、日本国内にいる特定技能外国人を受入れする際の手続きの流れについて紹介します。

➀候補人材の確保

国内人材を確保する方法は「既に受入れしている人材」と「社外からの人材」の2つに分かれます。

既に受入れしている人材としては、主に「技能実習生」や「EPA介護福祉士候補者」、「アルバイトで受入れしていた留学生」などが想定されます。

既に受入れしている人材であれば、面接不要で、人柄や評価についてもわかっているため、一番失敗の少ない人材確保の方法と言えるでしょう。

社外からの人材を採用する場合は「他社の技能実習生」や「留学生」、「他社から転職してくる特定技能外国人」などが想定されます。

また、社外の外国人と自力で繋がるのが困難な場合には、自社で受入れしている外国人からの紹介や人材紹介会社を使うのが一般的な方法です。

②面接

社外からの人材を受入れする場合は、候補となる人材の確保をした後に、面接を行います。

面接の実施は、手続き上は必須ではありませんが、人材との相性や雇用条件などの確認などのためにも実施することを強く推奨します。

既に受入れしている人材を、特定技能外国人として継続雇用する場合にも言えますが、特定技能外国人となった後の雇用条件や業務内容などは、間違った理解のないように母国語で詳細に説明をしておきましょう。

また、社外からの人材に対しては特に、業務内容や会社のルールなども含めて職場のビデオなども使い、時間をかけて説明をして下さい。

面接は、オンライン形式で行われることが多いですが、候補者が近場に住んでいる場合や、受入れ企業が対面での面接を強く希望する場合などは、対面での面接をすることも可能です。

イスラム教徒の多いインドネシア人の面接をする場合には、宗教面については必ず確認をするようにしてください。

豚肉に触れる可能性やお祈りの可否、女性のヒジャブの着用可否についても事前に説明をしておきましょう。

また、面接では、合格したいために不本意に宗教上の制約事項について合意をしてしまう場合もあります。

そのため、募集の段階にて、募集要項で周知しておくことや、面接時に即合意をさせず数日おいて考えさせて返答をもらうなどの配慮をすると入社後の宗教面でのトラブルを抑えられるでしょう。

➂雇用契約の締結(ガイダンス実施)

特定技能外国人を受入れする際に必須の事前ガイダンスを実施します。

事前ガイダンスでは、雇用契約内容の説明を中心に日本での活動内容や注意点などを特定技能外国人の理解できる言語で説明します。

特に、雇用契約書の内容については、採用した特定技能外国人と一緒に確実に確認しながら説明をして、雇用契約を締結してください。

事前ガイダンスにて、面接の際にも説明をした条件面や従事する業務内容について思い違いがないように詳細に説明することで、早期離職や入社後のトラブルを避けることができるでしょう。

④海外労働者管理システム(SISKOTKLN)への登録

特定技能外国人として就労するインドネシア人自身が、海外労働者管理システム(SISKOTKLN)へ登録する必要があるとされています。

現状では、日本の入管でSISKOTKLNの登録有無を確認することはないため、登録しなくても日本国内で特定技能ビザの取得ができてしまい、多くのインドネシアの特定技能外国人が登録をしていない状況です。

一方で、SISKOTKLNの登録なしでは、将来的に一時帰国時後に再入国できなくなるようなルール変更なども考えられるため、日本国内での登録可否などについてインドネシア大使館へ最新の情報を問い合わせすることをおすすめします。

⑤特定技能ビザの手続き(出入国管理局)

特定技能ビザに必要な書類の収集・作成を行い、本人または申請取次者が特定技能ビザの申請を行います。

入管への申請について、外国人本人ができることはもちろんですが、受入れ企業や登録支援機関、行政書士なども申請取次者の許可を取得していれば、特定技能ビザの申請を本人に代わり行うことができます。

⑥就労開始

特定技能ビザが発行された日より、特定技能外国人としての就労を開始することができます。

もし、特定技能外国人が転職をする場合には、再度、新しい特定技能ビザの取り直しする必要がある点にも注意してください。

また、特定技能ビザ(1号)での日本での就労可能期間は最大で5年間です。

この期間は、転職をしてもリセットされるわけではないため、受入れする特定技能外国人の今までの特定技能ビザの保有期間については、面接の段階で必ず確認しましょう。

インドネシアから呼び寄せする手続き

次に、インドネシアから特定技能外国人を呼び寄せする際の手続きについて紹介します。

➀候補人材の確保

インドネシアにいる人材を採用する方法としては「過去に技能実習生として受入れしていた人材」や「インドネシアで特定技能試験に合格した人材」などが考えられます。

過去に技能実習生として受入れしていた人材であれば、特定技能の技能試験・日本語試験を免除して、そのまま特定技能ビザを取得できる可能性も高く、人柄もわかっているため、一番良い方法であると言えます。

また、インドネシアでは多くの業種の特定技能試験が頻繁に開催されているため、来日したことがなくても、特定技能ビザの要件である「特定技能試験」と「日本語試験」に合格している人材も多くいます。

ただし、試験に合格した人材については、初めての来日となるため、生活に慣れるまではサポート面で最初は多くの手間がかかると思われます。

一方で、国内人材の募集が難しい地方などでも、インドネシアにいる人材であれば獲得がし易いなどのメリットもあります。

来日後に直ぐに他社に転職してしまうのではないかとの懸念もありますが、インドネシアからの呼び寄せ人材の離職率は既に国内にいる人材に比べると低い傾向があります。

また、インドネシアから初めて来日する人材を受入れして、大切に育て宗教面などにも他社より手厚く配慮することで、高い定着率を実現している受入れ企業もあります。

インドネシアにいる人材を募集する方法としては、現地の送出し機関に人材募集を頼む方法が一般的です。

インドネシア政府運営の人材マッチングサイトである「労働市場情報システム(IPKOL)」を使用しての募集も推奨されていますが、日本語対応していない点や登録方法などに不明点が多く、実際に使用している企業はほとんどないのが現状です。

なお、特定技能外国人採用の知識として、宿泊業や外食業などの業種では、技能実習経験者を獲得することが困難な場合が多いため、特定技能の技能試験を合格した人材を採用することがほとんどです。

インドネシアでの特定技能試験に関する情報については、次の記事も参考にしてみてください。

②面接

インドネシアにいる特定技能外国人を面接する方法としては、オンライン形式で行うことが般的です。

一方で、少し手間がかかりますが、インドネシアに赴いて対面での面接を実施することもおすすめです。

理由としては、実際にインドネシアへ行くことで受入れするインドネシア人の文化や宗教に触れることができ、余裕があれば家庭訪問も実施することで、特定技能外国人と受入れ企業の双方にとって良い関係構築がし易くなり、特定技能外国人の定着率アップに寄与するからです。

また、初めて日本に来日する人材であれば、特定技能外国人の家族を安心させることもできるでしょう。

なお、注意点として、インドネシアでは結核の感染率が高いため、面接合格者には面接合格直後や日本渡航直前の結核検査を行うこともおすすめします。

➂雇用契約の締結(ガイダンス実施)

面接を、インドネシアで実施する場合は、合格者に対して面接会場でガイダンスを実施する場合や、ビデオ電話などで後日ガイダンスを実施することも可能です。

インドネシアにいる人材を採用するのは、日本国内にいる人材を確保する場合よりも、本人と受入れ企業の双方にとって、負担も大きいため、ミスマッチの無いように念入りにガイダンスを実施してください。

④特定技能ビザの手続き(出入国管理局)

面接合格者が健康診断やパスポートの取得などの準備をして、特定技能ビザの必要書類の収集・作成をした後に、日本で特定技能ビザの申請をします。

既に日本国内にいる人材のビザ手続きをする場合よりも審査期間がかかる場合が多いですが、申請する入管や担当者によっても審査期間は大きく異なります。

⑤海外労働者管理システム(SISKOTKLN)への登録

無事に日本の入管より在留資格認定証明書(COE)が発行された後に、COEをインドネシアにいる本人へ郵送します。

インドネシアの送り出し機関を仲介している場合などには、COEを送り出し機関へ郵送して、受け取りしてくれる場合もあるため安心です。

COEを受け取りしたインドネシア人は、SISKOTKLNの登録をします。

SISKOTKLNの登録については、次の記事も参考にしてください。

⑥移住労働者証(E-KTKLN)の取得

SISKOTKLNへの登録が完了した後に、移住労働者証(E-KTKLN)の取得手続きをします。

E-KTKLNとは、海外で就労する予定のインドネシア人が適正な手続きを完了して許可を得たことを証明するカードです。

詳細については、次の記事をご確認ください。

⑦在インドネシア日本大使館での手続き

インドネシアで必要な手続きを済ませた後は、E-KTKLNや日本から送られてきたCOEなどを持参して在インドネシア日本大使館で、日本入国のための正式な特定技能ビザを取得します。

⑧入国・就労開始

インドネシア現地での必要手続きを済ませて、特定技能ビザを取得した後に日本入国となります。

日本の空港に到着した際に、特定技能ビザ(在留カード)が発行され、特定技能ビザ発行日から有効期限日までの就労が認められます。

インドネシア人を受入れする際の注意点

ここからは、インドネシア人を受入れする際の注意点をご紹介します。

宗教面での配慮

インドネシア人の多くがイスラム教徒です。

そのため、面接の際には、宗教的なこと(お祈りやスカーフ着用)の可否などについて、十分に説明する必要があります。

ただし、全てのインドネシア人がイスラム教徒ではない点についても知っておく必要があります。

ラマダン(断食月)はインドネシアの行政手続きが遅れる

イスラム教のラマダンの時期には、勤務時間の変更やラマダン明けの祝日があるなどの理由で、インドネシア国内の行政手続きなども遅れることがあります。

また、多くのレストランは午前中の営業していないなど、普段の月よりも不便があるため、インドネシア現地に赴いて面接を実施する際には、ラマダンの月を避けるのが無難です。

地域により性格が異なる

インドネシアは日本の約5倍の国土を有しています。

そのため、地域によって同じインドネシア人でも性格が大きく異なります。

一般的に、首都ジャカルタがあり多くの送出し機関も集まっているジャワ島のインドネシア人は日本人と似た性格の場合が多いです。

インドネシア人を採用するメリット・デメリット

メリット

インドネシア人を採用するメリットは多くあり、特に、上下関係を重んじる文化や協調性があり空気を読むことのできる人材も多いと言われている点は、おすすめする大きな理由のひとつです。

また、物価も地域差がありますが日本の10分の1程度である場合もあり、日本で働く際の大きなモチベーションとなります。

デメリット

東南アジアの人材全般に言える事ですが、インドネシア人も仕事よりも宗教や家族を優先する人材が多いと言えるでしょう。

しかし、既に日本で働いていた元技能実習生の場合には日本での仕事の文化を理解していることが多く、初めて特定技能外国人として来日する場合でも、事前に説明をしておくことで理解してもらうことができます。

まとめ

本記事では、インドネシアの特定技能外国人を受入れする手続きについて紹介しました。

特に、インドネシア人を採用する場合には、宗教面やインドネシア特有のビザ取得手続きがあるなど、注意すべき点が多くあります。

インドネシア人の特定技能外国人を受入れする際には、本記事の内容をぜひ参考にしてみてください。

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