介護職でインドネシア人が選ばれる理由と受入れ時の注意点

本記事では,介護職でインドネシア人が選ばれる理由とインドネシア人を受入れる際の注意点を分かりやすくまとめました。

インドネシアの基本情報から,性格・特徴なども含めて受入れ検討をする際に役立つ内容ですので,ぜひ最後までご一読下さい。

インドネシアの基本情報

人口

インドネシアは大小約13,500島の島々から成り立つ島国です。

人口は,インドネシア政府統計によると約2億7千万人と発表されており,世界第4位の人口を誇ります。

現在も人口は増え続け,2035年には総人口が3億人を超えると予測されています。

経済動向

2021年の経済成長率は3,69%と国全体で見れば堅調な経済成長を維持しており,多くの労働力人口や平均32,1歳と非常に若い平均年齢が経済成長の大きな要因となっています。

日本の平均年齢47,4歳と比較するとその差は15歳にもなり,経済成長のポテンシャルを伺うことができます。

多くの労働力人口がある一方で,特にジャカルタやバリ島などの首都・観光地から離れた田舎の島々では,就職先が少なく就職が困難です。

そのため,家族で農作業を行うなど,家事手伝いのような仕事をする若者が大多数を占めています。

所得でみると,インドネシアの平均月収は,約20,000円~30,000円程度で,且つ貧富の差が激しく,首都周辺とその他の地域を比べると,同じ国とは思えないほど格差があるのが現状です。

また,平均収入以下の低所得者が多く,自立した生活が出来ていない人々が多いです。

性格と特徴

インドネシア人は,温厚でゆったりとした性格をもち,誰にでも気さくに話しかける国民性です。

また,日常的に笑顔も多く,家族や年上の方,友人を大切にする文化が根付いています。

加えて,多宗教国家であるため,個々の個性や宗教を尊重し,互いの違いを受入れられる広い心をもっているのも特徴です。 一方で,東南アジアからの人材全般に言えることですが,時間にルーズな面がある点については,注意が必要です。

介護職でインドネシア人が選ばれる理由

インドネシア人が介護職で選ばれる理由として,高齢者との生活や世話をすることに抵抗がないことが挙げられます。

インドネシア人の多くは,自立した生活が出来ないため,特に地方では三世代に渡り共同生活をしている家庭がほとんどです。

そのため,普段から大家族や高齢者との生活にも慣れており,家庭内介護も一般的であるため,介護職に抵抗が少ない人材も多いです。

また,インドネシア人特有の明るく人当りの良い性格は,介護職において非常に重宝されます。

マレーシアや中東地域では,インドネシア人がメイドとして雇用されているケースが多々あり,高齢者の身の回りの世話も兼ねているケースもあることからも介護の適性が伺えます。

受入れ時の注意点

次に,インドネシア人を受入れる際の注意点をご紹介します。

国家公認の宗教は,次の6つです。

  • イスラム教
  • プロテスタント
  • カトリック
  • ヒンドゥー教
  • 仏教
  • 儒教

国家公認である宗教の中でも,イスラム教が人口の約87%と大半を占めており,次いでキリスト教,ヒンドゥー教,仏教と続きます。

そのため,インドネシア人を受入れする場合は,特に次に挙げる主なイスラム教の宗教上の戒律について,知っておく必要があります。

主な宗教上の戒律(イスラム教)

➀豚肉禁止

②禁酒

➂1日5回のお祈り

④断食

⑤女性のヒジャブ

➀豚肉禁止

イスラム教では,豚肉を口にすることは認められていません。

そのため,イスラム教徒のインドネシア人に,豚肉を無理に食べさせるようなことは絶対にしてはいけません。

また,日本では,レトルトやカップ麺などの多くの食品に豚肉が使用されているため,特に受入れ当初はインドネシア人を受入れする際に,食品の原料を伝えてあげる必要があります。

なお,全てのイスラム教徒のインドネシア人が豚肉を食べないわけではなく,その可否はあくまでも個々人の自由意志に拠るため,豚肉の成分などが使用されている程度であれば口にするインドネシア人も少なくありません。

一方で,ゼラチンには豚肉の成分が含まれるという理由で,ゼラチンで作られたゼリーを食べないというインドネシア人もいるため,インドネシア人に食品の原材料などを聞かれた際には,確認を手伝ってあげる必要があるでしょう。

また,厳密に言うと,日本で通常販売されている肉類に関しては,鶏肉や牛肉など,豚肉以外の肉も宗教上の戒律で口にすることができません。

そのため,宗教上の教えを厳格に遵守するインドネシア人は,ほとんど自炊をしており,ハラール料理(イスラム教徒が食べることを許された料理)を提供するレストラン以外には,行かない場合が多いです。

②禁酒

イスラム教では,飲酒が認められていません。

そのため,イスラム教のインドネシア人は通常,飲酒をしない人材が多いですが,日本のコミュニティーに溶け込むにつれて,コミュニケーションの一環として,適度に飲酒をするインドネシア人も少なくありません。

➂1日5回のお祈り

イスラム教では,1日5回のお祈りが定められています。

お祈りの時間帯は,ほとんどが日の出から日没までの間であるため,夜勤以外は,お祈りの時間が就業時間中に来ることになります。

そのため,1畳程度のお祈りのスペース・時間を設けることで,5回のお祈りをすることができるため,精神面の配慮にも繋がります。

④断食(ラマダン)

イスラム教では,1年に1ヶ月程度の断食月があります。

断食月の間,イスラム教徒は日の出から日没までの間,飲食を一切することができません。

多くの受入企業(特に建設業など)が心配される点になりますが,既にインドネシアでは全業種に従事する人材が断食を行っており,慣れているため心配は無用でしょう。

また,体調不良の際には断食は中断して良く,どんな状況であっても継続をする必要があるわけではありません。

  • 女性のヒジャブ

イスラム教では,女性は美しい体のパーツを隠すという意味合いの下で,長袖長ズボンを着て,ヒジャブと呼ばれる布を頭に被る必要があります。

ヒジャブについては,イスラム教徒であっても着用していないインドネシア人も少なくないため,着用有無にはかなり個人差があると言えます。

「お祈り」と「女性のヒジャブ着用」については,日本では見慣れないため,認めることのできない受入企業も少なくありません。

宗教的な戒律であり,認めることで精神面の安定にも繋がるため,日本での

就労中も許可をすることが望ましいです。

どうしても許可できない場合は,受入れ後のトラブル回避のためにも,応募の段階で条件として記載して求人をすること,面接時には再度候補者へ確認することを徹底する必要があります。

受入れ後に,宗教的な義務が果たせないなどの理由で,精神的な負荷をかけないためにも 同意できない人材は,採用を見送ることが無難です。