本記事では、日本で就労する外国人が、母国の家族を扶養にいれる際に必要な条件や必要書類を紹介します。
特に、技能実習生や特定技能外国人の扶養手続きをフォローする際には必読の内容ですのでぜひ最後までご覧下さい。
扶養控除とは
扶養控除とは、扶養控除の手続きをすることで税金の控除を受けられる制度です。
日本人でも扶養控除の手続きを行うことで、税金の控除を受けることができますが、日本で就労する外国人についても同様のルールが適応され、一定の要件を満たすことで、母国に住む家族を扶養に入れて税金の控除を受けることもできます。
扶養控除の手続きは主に会社の年末調整の際に実施することになります。
なお、本記事で紹介する「扶養控除」以外にも、税金控除のシステムには「配偶者控除」や「障害者控除」などがあります。
扶養に入れられる家族の条件
条件➀:扶養対象家族の所得金額
扶養に入れる家族の年間の合計所得額が48万円以下であること
条件②:扶養対象家族の範囲
6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族であること
上記親族の範囲については、「厚生労働省:親族の範囲について」の早見表をご参照下さい。
条件➂:年齢制限と必要な送金額
扶養の対象者が下記いずれかに該当すること
- 16~29歳
- 70歳以上
- 30歳以上69歳以下の者で、
・障害者
・38万円以上の送金をした相手
母国の家族を扶養に入れる際の必要書類
扶養控除手続きの際には、下記書類を提出して下さい。
- 家族証明書類
- 家族証明書類の日本語翻訳
- 38万円以上の額の送金書類等(扶養対象者が30~69歳の場合)
なお、下記は母国の家族を「配偶者控除」や「障害者控除」の対象とする際に必要な書類です。ほとんど扶養控除と同じですが、併せて参考にして下さい。
- 家族証明書類
- 家族証明書類の日本語翻訳
- 送金書類等
それでは、必要書類それぞれの内容を詳しく見ていきます。
●家族証明書類
扶養申請する外国人と、扶養対象となる家族の関係を証明する下記の書類が必要です。
- 「戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類」と「家族のパスポートの写し」
- 外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類(国外居住家族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)
たとえば「母国の戸籍謄本」「出生証明書」「結婚証明書」などが該当します。
※2親等以上の親族関係を証明するためには、必要に応じて複数の証明書類を使い関係を証明する必要があります。
●親族関係書類の日本語翻訳
外国語の証明書類については日本語の翻訳も必要です。
●38万円以上の額の送金書類等
- 海外送金証明書
- クレジットカードの支払い証明書類※
※母国にいる家族がクレジットカードで支払いした金額が、扶養の申請をする日本にいる外国人の口座からの引き落とし、または支払い費用の負担者が扶養申請する外国人本人であることを証明する書類。
よくある質問
送金証明に使えるのは「いつからいつまで」の送金?
たとえば、令和5年度の扶養控除手続きに使える送金証明書は、令和5年1月1日~令和5年12月31日までに海外送金をした分の送金証明書になります。
注意が必要な点は「家族がお金を受け取った日付」ではなく「日本から送金した日付」が基準となる点です。
母国にいる家族がクレジットカードを使った金額は証明書類として使える?
母国にいる家族が、クレジットカードを使い、扶養の申請をする日本にいる外国人の口座から引き落としがあった場合は、その金額も「38万円以上の額の送金書類等」に含まれます。※例:家族カードでの支払いなど
また、送金書類等として使える支払い額は「口座からの引き落とし日」ではなく「クレジットカードを使用した日付」を基準日として計算します。
たとえば、令和5年度中にクレジットカードを使い、令和6年度中に引き落としがあった場合には、令和5年度中の扶養控除に使用できる支払い金額となります。
家族の代表者一人に海外送金している場合はどうする?
家族の代表者1名に送金をしている場合は、その代表者のみを扶養控除の対象とすることができます。
まとめ
本記事では、日本で就労している外国人が、母国にいる家族を扶養に入れる際の手続きについて紹介しました。
令和5年度からは、本記事で紹介した新ルールが適用されるため、間違いのないように注意して下さい。